狩猟環境
空気銃狩猟の時代背景と いざないの理由

 これからの空気銃猟の立場は、時代の担い手にならざるを得ない。報道される鉄砲事故の中には、空気銃猟での重大な事故例はほとんど聞かれない。装薬銃での事故を深く掘り下げていくと、そこには猟場の狭さと無軌道な銃器に対しての扱い方がうかがわれる。撃てば轟音を発する道具では、気楽に発射経験を確保できず、銃の取り扱い経験が浅くなるのである。
 空気銃になると、その事情は一変してしまう。空気銃の射撃場では、いくらでも撃てる。狩猟においては、ゲームの多い人家周りに配慮さえすれば、その安全は確保しやすく、比較的近くの猟場で楽しめる手軽さは、捨てがたい貴重な趣味となっている。これは時代の要請そのものであろう。
散弾銃からエアハンターへ
射手のジャンルとして、これほどライフルへの移行を困難にしている人達もないであろう。彼らの弾道における考え方の中身は理屈ではわかっていても、身体で納得していないという、経験上の弾道が存在していないのである。
 つまり、狙い越しはエアハンターより上手くても、湾曲している一発弾の特性を考える習慣はなく、長い集弾パターンに、ターゲットを合致させる訓練を長い期間してきた人達なのである。ましてサイト調整などという本質的な行為におよんでは、まったくの初心者でありながら、ショットガンの扱いにおいてはベテランなのである。
 ライフルには初心者であるはずのショッガンハンターは、どうしても散弾銃経験が障害となって、いつも頭を過ぎり続けるのである。そのような人達が銃歴10年の経験があるだけで、いきなりライフルを所持することは、特に今のご時世では無茶苦茶なことである。もし銃砲店で、この状況がわかっているのにライフルを勧めるとしたならば、それは犯罪行為に等しいとさえ感じてしまうのは行き過ぎだろうか?
ライフル射撃場で、サイト調整もできず、他人任せの人がいる。いくら教えても、その人の価値観には、人に習ったことを憶える習慣がない人が多いのには驚く。
 本来のライフル所持の条件には、10年などという何の裏付けもない無意味な規則より一歩前進して、散弾銃経験3年と、エアライフル経験を併せた条件を必要経験とし、さらにライフルに必要な実技をもっと厳しく考査する必要性がある。その結果として、経験年数を少なくし、もっと具体性をおびた考査が妥当なのである。いくら長い時間をかけても、向いていないタイプにはなかなか順応できないのが、このライフルなのである。
ライフルを難しいものにしている要因に、他人からの指導によるものだけでは補いきれず、自身の努力によってのみ完成される部分が多いことも、ライフルの理解を難しくしている事実でもある。
散弾銃からライフルに移行しようとしているハンター諸氏には、ぜひともエアライフルから習熟していただきたい。エアライフルからスラッグ銃も理想の橋渡しになり、エアライフルで培われたさまざまな要素は、ライフルへの橋渡しにどれほどの効果があるかは、世界中での常識と昔から言われている。
 ライフルマンからエアハンターへ
 耳を塞いでいなければ、とても耐えられないライフルの音。これほどの道具を使う場所は、人家などは見えない、相当な奥地に限定される。しかし、そのような猟場は、現在のハンター事情からすれば、遠のいていくばかりである。時間と経費がかかり、そう多くは射撃場には行かれないが、このまま続けたいと思うのが、ハンターの道理である。
 ここで問題になるのが、射撃練習の回数である。射撃場まで行くにも、猟場とそう変わりない遠距離であれば、その足は遠のいていくことも必然であろう。銃に触れることや、空撃ち、または据銃姿勢などの反復練習、そして発射訓練と、そこに含まれている重要プロセスは、狩猟にはなくてはならない経験である。
 この中で、発射行為だけは射撃場に行かなければ、その目的を達せられないが、その一つの解決法が空気銃にある。音と衝撃は違うものの、実際にやってみると、そこに潜在している可能性は無限に広がっていくかのようだ。
空気銃射撃がライフルに及ぼす効用は、計り知れない範囲にまでおよんでいる。空気銃をほとんど扱ったことのないハンターでも、銃器に造詣の深い者には十分頷けるジャンルである。
 空気銃は射撃場さえ確保できれば、その日は飽きるほど撃てる。いくら撃っても弾の値段は、ライフルの数発分である。
 空気銃射撃をすることにより、スコープの着弾調整も徹底して訓練できる。ライフル射撃場でよく目にする光景の一つに、ゼロイン調整に苦労している姿があるが、空気銃での要領とまったく同じである。
 空気銃射撃に行って、その多くの発射回数を数えるうちに、ライフルのゼロインは3発で終えるようになる。こうなれば猟場での不測の事態にも対応可能なのである。着弾調整に数十発撃つようでは、ライフルを所持する資格はないのである。
 空気銃射撃場で、スコープの中に見える光景が大物猟場と違っていても、そこに含まれる重要課題の重みはまったく同じである。それをライフル射撃の数十倍も経験できれば、その効果は言うまでもないであろう。
 スコープで獲物を捕捉し、発砲にいたるには、意外と難しいプロセスを含んでいる。スコープの狭い視野の問題は、ハンターがそれなりの訓練なしにはとてもその視野に獲物が入ってくれず、やっと捉えたときには獲物は走り出していた、なんてことは日常茶飯事なのである。
 スコープで獲物を探し回って、その末、スコープから目を離し、肉眼で獲物を確認するなどの事態は、最悪な状況である。そのようなことが度重なるならば、スコープをはずし、オープンサイトにして、近射専門としたほうが妥当な狩猟となろう。
スコープなしでの据銃と、スコープ装備での据銃では、極端な違いがある。そのハンターにとって、どちらが獲物を手中にしやすいかを必ずや決断しなくてはならない時期が、ライフルマンには訪れる。しかし、ほとんどのハンターは、その意味さえも感じることができず、そのままスコープを使い続けていくのである。自身にとっての、その道具の価値観をかえりみることのないハンターには、それほどの技量の進展はないであろう。
 一方、自身とスコープの関係を客観的にとらえることができるハンターは、スコープの正しい使用目的と価値観をはっきりと意識の中にとらえ、いままでのようなスコープの覗き回数では、とても足りないことを補おうと奮起するのである。その頼もしい助っ人が、空気銃射撃なのである。
 ライフル射撃場で幾度となくライフルの発砲を繰り返すうちに、引き金を引く直前で、上半身が前にのめり込んだり、頭の中の血の気が異常に緊張していくことがある。フリンチングである。衝撃恐怖症とでも言おうか、撃ったときの、いやな衝撃を身体が記憶しており、撃つ直前に拒否反応を起こし、素直な引き金操作ができず、がく引き(予定していたタイミングで引けない引き金操作)のような悪い引き方になるのである。
 空気銃を長く志していたエアハンターが、初めて100mで30-06 以上のライフルを発砲しても、始めの数発はベテラン並みの着弾を示す。問題は一呼吸した後、つまり少々のインターバル(休憩)後である。いくら撃っても、先ほどのような精度は出ない。その後、続けて撃ち込んでも、そのままの精神状態では良い結果は得られなくなる。フリンチングを起こしているのである。ここでエアハンターは考える。この現象は何であるのか? この異常な緊張感は何であるのか? と。
フリンチングがすぐに訪れない射手もいるが、遅かれ早かれ、それは、いつかはやって来るのがライフルマンの宿命である。射手によっては、この現象が始終起きているにもかかわらず、それが何であるのか理解もせずに長い年月を過ごしている人達も多いことだろう。
 そのようなハンターの多くは、ほとんどの発射行為を猟場で経験しており、猟での射撃にはフリンチングが起きないのである。猟でフリンチングが起きないわけは、ハンターの神経のすべては獲物との対峙に集中しており、フリンチングが頭から湧き出るヒマもないうちに、発砲が完了してしまうからである。すべては精神がなせるワザなのである。
 しかし、射撃場での落ち着いた環境では、猟場ほどの緊迫感がないかわりに、引き金に対しての異常な緊張感が生まれる。視覚から得られた情報が脳に伝わり、最後に引き金に到達するときに、指の筋肉と脳とのやりとりの中で少々の時間が生まれ、この空間域にフリンチング情報が組み込まれてしまうのである。
 射撃場での発射経験の薄い射手にとっては、この難題を解決することは難しいであろう。しかし、装薬銃の数十倍におよぶ発射行為を経験しているエアハンターである。その引き金を落とした経験は、ここで大いにその効果を発揮するのである。引き金の引き方をマスターしているエアハンターにとっては、引き金をスムーズに絞る習慣がついているので、それ以外の精神的コントロールだけに集中できるのである。まさに自己との闘いが始まるのである。
 しかしながら引き金の絞り方を、それほど意識的な訓練として積んでいない射手にとっては、引き金の操作と精神的なコントロールを同時にやりこなすことは、ほとんど無駄な行為となっていくことだろう。それほどの強者は、この世に多くいないはずである。
 エアハンターからライフルマンへ
 エアハンター達がライフルを所持したその日から、100mで1インチ、3発の集弾は容易なことであろう。フリンチングなどものともせず、わずかな年月で素晴らしい精度を維持し続けることも可能である。さらに大物狩猟術を身につければ、遠射に、近射に自由自在な将来が待っている。
 エアライフルで、弾道の何たるかを徹底的に自身で検証してみよう。そこには装薬銃では経済的、時間的にも不可能なことも、このエアライフルでは何のことはなく、簡単にやってのけられるのである。その多くの経験は猟場でもすぐに生かせ、大変具体性の優れた猟法となり得るのである。
 エアハンターになると、単独猟によって自身を客観的に見つめ直す機会にも恵まれるだろう。ハンターとしての精進は人としての精進であり、決して多くの団体の中から生まれるものではなく、初めはまず己からの精進を発端にすべきなのである。
われわれ日本人は、子供の頃から団体に交わることが人生の出発点のごとく言われ続けてきた記憶があるが、今思い返すと、その間違いに気づいているところである。自己を知らずして、他人を思いやる余裕や理解などないのである。まして個性的な狩猟などでは、自己意識なくして、なんの価値があろうはずもないのである。
 エアハンターの単独猟には、素晴らしい要素がたくさん詰まっている。一人でフィールドを好きなだけ見回してみよう。じっと一時間も辛抱していると、そこには今まで思い込んでいた自然とはまったく違った光景が一つ二つと現れてくる。あの少年の頃のみずみずしい感覚が蘇ってくるのである。腹這いになって、その光景を覗いてみよう。動物達の気持ちがわかるかも知れない。
 ハンティングの醍醐味と極意は、いかに動物達に気持ちが近づくかということである。動物園のベテラン飼育員が動物の個体差を見分け、話を真剣にすることと似ているかも知れないが、われわれの相手は野生動物である。これほど遠くに位置している、手の届かない動物達に、気持ちと心が近づくことは、大変な快感を生ませずにはおかないだろう。
 しかし、その道のりは遠い。少しでも近づきたいと願う気持ちが、ハンターとしての尊さなのではないだろうか。そして、その思いが大きな結集となり、本当の自然保護の布石となるのではないだろうか。
 エアライフルによる狩猟は、個人の嗜好を越えて、今や時代の要請なのかも知れない。

  終猟後の空気銃の手入れと保管
 猟の終わり、一段落と思っていても、まだ何かやり残していることがあるはずである。
それは猟期中さんざんお世話になった銃の手入れである。
 空圧の利用により成り立っている道具である空気銃の最重要箇所は、密封性を要している部分にどうしても集中してしまう。ピストン銃での給弾口(ブリーチ)は、穴あき五円玉状のパッキングであり、プリチャージ銃、ガス銃、ポンプ銃などは、給弾口のOリングへの給油と破損点検である。
 Oーリングのメカニズムと給油
 ここでOリングのメカニックを話しておこう。Oリングの占める役割は空気銃に限らず、さまざまな作動する機械にとっては、なくてはならない重要部品となっている。ことに空気銃での重要性は、空気銃の命ともなっているのである。
 Oリングとは、ミリ単位の細いゴム質でできているドーナツ型の形状であるが、その繊細な形態にしては、膨大な量と圧力を一手に引き受けている「小さな巨人」である。
 これのコンディションを良好に保つ秘訣は、うっすらと光る程度のオイル(専用オイル)が常時塗布されていることである。一時たりとも、このオイル皮膜が途絶えると、一瞬にしてOリングの破損に結びつき、空気漏れや作動不良が起きしまう繊細な部品である。従って、いつも心して配慮しなくてはならない。
 Oリングが200kg/Cu もの途方もない圧力に耐えられるメカニックは、その圧力を利用してシート面に圧着するからである。それゆえ、密閉性を必要とするとき以外には、Oリングへの圧力は可能な限り少なくしておくべきなのである。
 つまり、実際の圧力がかからないときには、Oリングの周りには適度な間隙が必要なのであり、過度な圧迫はOリングの劣化につながるのである。
 このようにOリングへの適度な給油が不可欠であり、他の金属摺動部にも同様な給油は必要となる。しかし、過度な量の給油はかえって不具合の原因ともなるので、給油については少量が適度と考えるべきであろう。
 給油時と給油後の処置
 グリースの目的は、適度な粘性があったほうが給油の回数が省略できることから使用されるが、その種類も多く、スプリング用とピストン用ではまったく異なる性状なので、適性な使い方をしなければ、その性能を維持できない。
 また、これまでの行程を実行するには、銃床と機関部を外して行うが、各種オイルをゆきわたらしたならば、不用に付着したオイルをぬぐい取り、銃床を元通り装着する。銃床を装着したままでのオイル塗布は、ごく一部分の箇所にしかオイル塗布をしないときに限り、全面的な実行には必ず銃床と切り離した状態で行うべきである。
 銃床の手入れには専用オイルを用い、もちろん機関部と切り離して、終猟期の手入れとすべきであろう。
 ガンロッカーと銃の保管法
 終猟後、銃を保管するには盗難対策のためにも市販のガンロッカーが一番安全である。しかし、現在ではガンロッカーについての行政指導がことのほか厳しいので、その堅牢性と機能性に配慮されたものが多い。
警察庁においても、「確実に施錠できる堅固なガンロッカー」という条件で、ロッカーの製造メーカーに対して、総理府令でいう「堅固な金属製ロッカー」に該当する、いわゆる、製造基準については、次のような基準で指導している。
 これらの基準の主旨は、ドライバーやバールなどが、容易にドアの隙間に挿入できない構造としての耐久性を要求している。
 その仕様は、次のとおりである。
1.扉、側板、天板など、すべてのスチール板の厚さ が、1.0mm 以上を有していること。
2.施錠方法は、かんぬき構造などで、扉の上下 を箱体に固定し、はずせない構造になっていること。
3.ドアの蝶番がが簡単に壊されたり、はずさ れたりできない構造であること。
4.ロッカー内部に鎖などで、錠を固定できる装 置があること。
5.ドアの錠は、鎌錠など外からの力によって簡単に解錠できないものであること。
6.錠には、かけ忘れ防止装置を付けること。7.錠は、鍵違い120 種類以上有するものであ ること。
以上のように、こと細かにその安全性のための配慮を考えて、ガンロッカーは作られているので、その基準に満たない、間に合わせのようなロッカーは避けるべきである。
 ガンロッカーは、銃砲所持者の社会での砦である。もし、賊により簡単に持ち出された銃が社会的な問題として報道されることは、とりもなおさず、われわれの世界の破滅を意味しているのである。
 このようにガンロッカーの役目は社会的な安全を目的としているが、銃にとっての環境の改善も可能である。
 まずガンロッカーに、いつものように銃を入れるが、長い保管期間が考えられる銃については、厚手のポリエチレン袋に一丁ずつ入れ、それぞれに乾燥材や脱酸素剤を入れておけば完全であろう。ガンロッカー自体には、家庭用の除湿剤をさらに添加しておき、セロハンテープで目張りしておけば万全である。
 梅雨時の銃の出し入れには、気をつけるべきである。ひとつの方法として、部屋の湿度を下げるために、一時的にエアコンで除湿した状態での出し入れがあるが、面倒に感じる人には銃を乾燥させてから、適切な防錆油を使った、こまめな養生と、銃の個別密封を実行してもらいたい。

  終猟後の反省点と狩猟登録証の返納
 終猟直後、一猟期を総括するための反省点を正確に見極め、分析することの元をなすものは、出猟日誌の実行である。これが完備してあれば、自ずとその注意点と反省点は、表面にわかりやすく現れてくるものである。
 いかに猟期を総括するか
 反省点には、出猟時刻、天気、気温、装備、弾種、獲物の種類、獲物との出合い方、出合い時刻、その処置、調理、蛍光色チョッキや帽子の着用などと、そのハンター独自の項目を整理して、いつの時期に見てもわかるような書き方にも配慮は必要である。
 また自身の価値観で、その年の猟の反省をすることは大事であるが、自身とは違った方向からの意見や情報も大切である。雑誌などの他人が書いた文章の中にも、自身と照らし合わせるべき内容もあるはずであり、意外とそのほうが、より客観的に判断できる場合もあるだろう。その記事なども書きとめておけば、より高度で、実用的なチェックが完成することだろう。
 そして、狩猟登録証の返納は、一カ月以内に済まそう。都道府県によっては生息調査のために、ハンターからの報告を求められる場合もあるので、積極的に答えてほしい。末端のハンターの声が猟政にも反映されることとなるだろう。それがハンターとしてのマナーの一つでもあろう。

失中原因とその対策
 われわれは必中の裏返した反対の言葉を失中と呼んでいる。その意味はターゲットに当たらない、または当たったかも知れないが、飛ばれてしまった状況をさす言葉に使われている。銃猟においては、獲れない、回収できないことが、失中と同等な意味をなしているのである。そこには銃の精度による失中と、ハンターの技量責任による失中がある。
 銃の精度による失中
銃のせいだからと言って、ハンター自身に責任はないとは言えない。なぜならばハンターにとっての銃は分身そのものであり、いつも最高のコンディションに保っておき、ハンターが銃を常に支配していることが、技量と法律の両面で課せられているのである。
 従って、その責任を怠った結果、銃の不備により、予定したコースを弾が飛行せずに、目的のポイントに弾がヒットしないことが失中である。まことに理屈っぽい表現となったが、ただの失中と、軽率なる検証を避けたい主旨を理解していただきたい。
 銃による原因には、スコープなどのゼロイン調整の不徹底が筆頭にあげられる。
 エアハンターのすべては、一度フィールドに立ったならば、必ず着弾確認をする。要するに、今日は予定のコースどおりに弾は飛行してくれるのか、それを確認するのである。
 意外と、かなりの確率で着弾ポイントに異変が生じている。その誤差が、ハンターが撃つ距離において支障がない範囲であれば、いたずらにスコープ調整ノブを触らないで、そのままの状態でハンティングを始めよう。数時間経過してから、再度、調整射撃に挑戦してみよう。意外と正規のポイントに戻っていることが多いものである。
 また、最初の確認射撃時に、大きな着弾ポイントの修正が必要であった場合も、再度同じ要領で確認射撃をしてみよう。
 一度、その不安定な現実を見てしまうと、ハンターにとっての心配事となり、落ち着かないハンティングとなっていくが、あまり神経質にならぬことも、ハンターの技量の条件でもある。要は、自身で所持している銃の傾向と性格を早い時期に理解しておくことが重要なのである。サイトとは常に流動的でありそれをコントロールするのが、ハンターの技量なのである。
 スコープのセッティング、固定方法の不備により、スコープが動いている場合がある。締め付けボルトの増し締めや、良いマウントリングに交換すべきである。
 スコープ自体の故障、または性能により着弾が不安定になることがある。特にピストン銃では、先のボルトの増し締めも含めて検討すべきである。
 各箇所の不備については、「空気銃の手入れ」の項を参考とされたい。
 銃腔のクリーニングの不徹底による失中もあるので、フィールドにはクリーニング道具を持参したほうが無難であるが、詳しくは「銃腔クリーニング」の項を参考にされたい。
 このように述べてくると、いかに空気銃は繊細な道具かが理解できると思う。無頓着な考えでハンティングすることと、その本質を理解して使うのとでは相当な差となり、猟果に反映してくることは必然である。
 ハンターの技量責任による失中
 まずは距離への配慮に欠ける行為が、その筆頭になる。自身が考えている範囲よりも、途方もない誤差を起こしているにもかかわらず、無頓着な判断は、すべての狩猟感覚をむしばんでいく。それは結果として、間違った自信の持ち方が原因である。
 弾の発射行為は、決断してからの結果であり、その決断時点になすべき行為をおろそかにしていることであり、決して結論を出す行為ではなく、結論自体を省いての発砲となる。これらのほとんどは50m 前後の距離で起きている。
 結論を出す前に、正確な距離測定を実行しなくては、この距離での対応は無意味なのである。その難度は、弾速の遅い銃ほど顕著に現れる。ポンプ銃の大きく湾曲する弾道は、35m 以上の距離については5mの目測を誤ると、急所にはヒットしない。
 究極の急所の大きさは、ターゲットによってサイズの差はあるが、だいたい3cm 前後とすべきであろう。もちろん、その範囲以外への着弾でも獲れることはあるが、確実性を高くするのがハンターの本道とすれば、この数値が妥当なのである。
 獲物によってのサイズの違いは、急所のサイズの違いとなるが、実際には、それほどの違いは起きないのである。例えば、キジバトは3cm で十分獲れるし、キジも3cm だと矛盾を感じるが、キジのほうが遥かに撃たれ強いので、確実性を増すためには、この範囲にとどめたいのである。
 50m で3cm に入れるとなると、相当な難しさがあるが、実際には、これより大きな集弾性で獲れていることが多いはずである。しかしながら、この数値をいつも意識することで、もっと難度の高いターゲットへの挑戦が可能になるのである。
 距離への配慮には、距離計(レンジファインダー)と、弾道補正機構(BDC)搭載のスコープの使用を駆使するか、一定以下の比較的近距離またはバイタルゾーン(バイタルゾーンの項を参考)の中の獲物だけに発砲する方策がある。
 距離計とBDC付きスコープによれば、その配慮によっては, 50m を遥かに超える対応も可能となる。もちろん、近距離にも十分活用可能である。
 ピストン銃のように、衝撃が大きく、その割には弾速の遅い空気銃では、引き金の落とし方や、保持の仕方、依託の仕方によって着弾にバラツキが起きるので、可能な限り柔らかいソフトなタッチで終始しなければならない。
 また、引き金が軽すぎることも、狩猟においては失中の原因ともなりうる。これはビギナーに多く、ハンターの意思よりも早過ぎる時点での発射となる場合であり、結局そのハンターには相応しくない引き金となり、不安全行為ともなりうる。
 獲物に対しての、当たりどころによっては、当たっているのに飛ばれてしまう結果は多いものである。ハンターによって、その狙点はそれぞれ違うが、いずれにしても獲れる可能性が高い狙点を見い出し、発砲するのであるが、初めから間違ったところを狙点としている場合は、カラーページの「狙点5態図」を参照いただきたい。
 キジを例にとれば、通常の狙点の中心は首元から頭にかけての小さな範囲に限定され、基本的には横隔膜から上の重要器官にヒットすることであり、その確実性を増すには首元から上と、脊髄に沿っての神経組織にある。
 獲物に正確な着弾効果を与えるには、その獲物の向きが、ハンターにとって一番有利な角度になるまで待つことも、ハンターの技量に入るだろう。発見したから即座に撃つ行為におよぶだけでなく、少しでも時間的余裕を見切り、その時間ぎりぎりまで辛抱強く待つことはスナイパーの鉄則であり、その狙点が現れないのならば、狙撃の一時中断も必要な行為であろう。

  空気銃狩猟のための射撃練習法
 射技の向上とは、撃たなくてはその効果はあり得ない。そして、猟だけでも補えない大変メンタルな要素が、この射撃技術である。
特にライフルの一発弾に頼る行為は、その傾向が顕著に出る。
 射撃場の落ち着いた環境が、何よりも尊い環境であり、自然という壮大な圧力を除外してできる環境は、トリガー操作や、呼吸方法を、じっくりと繰り返すことによって、ハンターに徐々に、その本質を気づかせ、浸透させてくれるのである。フィールドは本番そのものであり、練習などという悠長な環境ではないのである。本来のフィールドのあるべき姿であり、そうではくては、ハンターとしての醍醐味も生まれないのである。
 しかしながら、その感激にしたる術は、やはり射撃技術に依存している部分は多く、ハンティングの本当の楽しみ方、感激の根源は射撃場にいつも通じているのである。
 すべての射撃練習は、射撃場で行うことが鉄則である。
 次に、私の実践している効果的な射撃訓練についてのべる。
1.依託射撃(レスト射撃)を徹底して行おう 依託という精度を確保した状態で、スコープ越しに見える黒点を凝視してみると、い くら固定して銃の安定をはかっても、微妙 に動く狙点に気づくことだろう。
 もし、そのような動きがないならば、そのスコープの倍率を上げるとよい。10m でも10倍以上のスコープであれば、その動く様が見えるはずである。射撃練習には、可能な限り倍率を高くして使うべきである。倍率を上げると引き金を引くタイミングが上手くとれず、精度が落ちると言われる場合があるようだが、これは練習であり、練習には少々極端なほうが、その目的を達する効果があるものである。 そもそもターゲットの動きにくい低倍率は現実から逃げており、実際のターゲットは倍率に関係なく動いているのである。ハンターの訓練には、その動く現実の中での引き金落としに慣れない限り、遠い距離への克服には決してならないのである。
 70m 先のカモの小さな狙点の動きは活発な動きであり、これを再現できるのは高倍率だけなのである。実際の狩猟条件より難しいセッティングによって、より高い効率の練習が再現できるのである。低倍率で10m などという近距離でいくら練習しても、それほどの効率は生まれないのである。
遠射においての条件には、獲物が逃げない時間的な余裕の中で、ベンチレストに近い、安定した環境を作り出せるので、射撃場に近い環境を生み出せるのである。
2.スコープ・レティクルの使い方を考えてみよう
レティクル図による狙点ポイントが、5ポイントには5箇所の狙点ポイントが点在しており、このポイントすべてを使って射撃してみよう。ターゲットになる黒点を終始同じところを狙って、レティクルの狙点ポイントだけを順次変えて、射撃していくのである。
 ほとんどのハンターはこの練習法を知らないが、やってみると、その狙点をずらすことにより着弾も変わっていき、狙い越しの要領が素直に理解できるであろう。
順次、すべてのポイントを使うことにより、その5ポイント・レティクルの配置どおりに着弾し、5ポイントがそのまま標的紙に再現されるはずである。
3.狩猟に即した射撃姿勢も練習しよう
 狩猟行為で最も多い射撃姿勢は、膝撃ちと立ち撃ちある。まず膝撃ちの立て膝を片足にした形態での射撃を開始してみよう。できるだけ早い操作で発砲にいたるようにすることが、より効果的な猟場に即応した射撃になる。しかし、射撃場でもあるので周りの雰囲気に気配りしながらの射撃が寛容である。
 単発銃で装填から発射までの早い技術を磨こう
 弾の装填も単発として、装填時間を短くできるよう練習し、装填と発射の流れをスムーズに運べるよう練習を積むとよいだろう。
 ここで単発と連発、双方の早さの違いを考えてみると、意外なことが起きる。練習をたっぷりと積んだ単発ハンターと、ほとんど連発式を練習していないハンターとでは、その差がほとんどないことである。特にサイドレバー式の単発銃の装填と発射までの時間は、むしろ早いときがあるほどである。
 われわれは単発にしたいが、その発射スピードが遅いことで、せっかくのチャンスを逃すのではないかと、一種の恐怖感を抱きがちであるが、練習と装填しやすいサイドレバー式にすれば、普通のハンターの連発式と何ら変わらないのである。
 そして、もっと重要なことは、単発である限り、精度が良く、どのような弾でも装填可能であり、一発必中のスナイパーには、これは最適な銃なのである。そもそも、このサイドレバー式が発射までの時間を短縮できるのは、据銃姿勢のままでサイトから目を離さずに、装填と発射を繰り返すことが可能な点である。
 ヨーロッパのすべての銃は、ボルトを直接引く方式であり、どうしてもボルト操作により、銃を肩から離さざるを得ない点が大きな欠点なのである。ライフルのように、もっと前にボルトがあればよいのだが、レシーバーケースの元から、さらに引く操作行程には、相当な無理があり、せっかくの連発も死んでいるのである。
 立ち撃ちになると、その連発性は断然サイドレバー式が有利となる。立ち撃ちの場合は、膝撃ち以上に身体を固定し、支えるものがないために、ボルト式のその操作には力が入りにくくなるのである。銃の連発性のキーポイントは、いかにサイトから目を離さずに、装填と発射を繰り返すかにかかっているのである。 
5.集弾表をチェックし、修正点を速やかに克服しよう
 集弾表に表現されているその意味あいは、その時間帯、経過時間などにより、射手の移り行く集弾結果を物語っている。いかなる射手も、時間の経過による影響から逃れることは出来ないのである。
 その因子となるものは、ハンターという生態であるからこそ起きる、宿命的な要素であり、疲労、根気が大きく影響し、その母体をなすもののほとんどは、その射手の体力であろう。
 集弾表の結果を検証してみると、その結果に、ひとつの傾向を見い出せば、しめたものである。つまり、グラフに描けば調子に乗る時間帯(発射弾数)と乗らない時間帯が存在しており、その乗らなくなりつつある手前で、
インターバル(休息)をとるのである。
 この行為を繰り返し訓練として行って行くことのより、自身に適したイラウンドでの発射弾数が割り出されてくるはずである。
 この行為は、たぶん射撃の専門家達が自然に身につけていることだろう。われわれハンターは、射撃マンに教わることは大変多く、素直な気持ちによって、それは誘発され、さらに大きく成長して行くことだろう。

射獲時の獲物の処理の仕方
 獲った獲物の処理は、衛生面と味覚の低下を防ぐことが、その主な目的であるが、今回は、剥製にすることを前提とした、処理を考えてみよう。
 われわれが、小物を猟獲したときの取り扱いについて、常時、剥展(日本剥製師協会)に上位入賞している野沢剥製さんに尋ねたところ、さすが専門家の意見は、いかの通りである。
 獲れた獲物はすぐに腸抜きしなければならない。暖かさが残っていることは、腐敗菌がすぐそこに、迫ってきているのである。そして、可能な限り冷却し、風通しのよい状態で運搬すべきであり、腸抜き装備のバード・ナイフを常時携帯すべきである。
 剥製のためには、被弾箇所と獲物のサイズが問題になる。つまり、頭部への被弾の場合は、小さなスズメにとっては、その再現作業が困難になり、大きなキジなどは、比較的容易に修復できるわけである。そして、弾痕から流れ出し、羽毛に付着した血液の処理に手間場かかることが多く、特に小さな部位である、頭部や頸部の弾痕処置には、神経をつかうところであり、小さなスズメなると、その難度は高くなっていく。
 頭部を貫通している穴の修復には、穴の両側の皮を縫い合わせて製作する場合は、スズメなどに、4.5mm の小さな穴でさえも、皮が引きつれてしまいがちであり、自然な感じに復元、修復することに、相当な神経を使わざるを得ない。どうしても無理があると判断したときには、同種の個体の羽毛を数枚使い、張毛という手法で製作することになる。
 小さなサイズの獲物の狙点には、背面や上背または背羽で隠せるあたりの脊髄を破壊し、貫通せず、その穴が一つなのが、理想である。 先に記した血液の付着であるが、一発必中で、即倒させたほうが、すべて完璧な処置であることは誰でも認めることであり、いつまでも苦しませると、血痕も拡散し、羽毛は汚れていくのである。従って、獲ったの弾痕を素早く、ティッシュペーパーや脱脂綿などで、塞ぎ、周囲に飛散した血痕を、素早くふき取る手立てが、剥製づくりを容易に、美しく仕上げる要点でもある。特にキジバトには、この手立ては有効であり、それを実行することにより、剥製の素材として見た場合の良否は決まってしまう。キジバトの羽毛が血で汚れた場合、薄く繊細な皮の性質上、洗いにくく、また、洗っても元のようなふわっとした、生きているときのような感じの羽毛とは、なりにくいのである。キジバトを食材としてならば、頭部が狙い目であり、剥製の素材としてならば、やはり背中が中心となり、射獲率も高く、まさに背面撃ちが一番なのである。
ここでご覧のとおり、剥製に向いている狙点と、食材としての狙点には、そう大きな違いはないのであり、要はクリーン・キルに徹すれば、すべてに通じることなのであろう。